2021-05-09から1日間の記事一覧

詩作9「青い朝」

朝焼けを見ようとした青く、薄ずらむ空 赤く染まる空の前に青い空が僕を迎えた 世界はここから始まる青く広がる空 ここから始まる、僕の朝何にも捉われない ここから始まる 朝日が昇る空

詩作8「いであ」

「今回展示されるのはなんとも珍しい深海魚です」夕方のワイドショーで流行りの水族館が特集されている 水槽の中に深海魚がぽつりひとり寂しく漂っている 「かわいそうだな」とわたしこの子はただ じぶんの住処を泳いでいただけなのにせめて一緒にもうひとり…

詩作7「獏」

夢をみていた朝、それだけを覚えている 楽しい夢悲しい夢恐ろしい夢懐かしい夢憧れの夢叶わない夢 全ては獏のエサになるだろう 良い夢は食べないで 残しておいてほしいな嫌な夢だけ食べてくれればいいのに そうすれば押入れの中か 冷蔵庫にでもそっと仕舞っ…

詩作6「ぎゃわぎゃわ」

酒を飲んで布団に潜る度にあのぎゃわぎゃわがやってくる胃のむかむかとは別に 頭のぎゃわぎゃわその度にいつも 酒を断とうと思えど忘れた頃にあいつはやってくるぎゃわぎゃわ ぎゃわぎゃわと 孤独な時間の中に 奴を視る ある日気づいた酒を飲むのはこのぎゃ…

詩作5「瞬間最大風速で駆け抜けて」

公道をのんびり走っていた僕たちとまるで高速道路のように飛ばす君 僕たちがバイパス沿いのお店を眺めていてもそんなものには目もくれないでどこにも立ち寄らず ただ駆けてゆく 寄り道ばかりの僕たちをとっくのとんまに追い越してもうやることがなくなったと…